研究科長のメッセージ

ごあいさつ

広大な米軍基地を抱えながらも長い歴史に根ざした独自の文化風習をもつ沖縄県では、複雑な背景を持つ法律問題に県民目線で対応できる法曹が必要です。また近年、沖縄県はその地理的優位性を活かして日本とアジアをつなぐ経済地域としての発展が期待されており、地域社会に対する法的サポートの必要性は一段と大きくなっています。

2004年に開学した本法科大学院(琉大LS)はは、このような地域のニーズに応える法曹の養成を目指しています。すなわち、県民の信頼を得て地元に生起するさまざまな法的問題を解決できる能力と、日本の法制度を深く理解して地域の問題を国や世界に発信する能力とを併せ持つとともに、LGBTQに代表されるような各人の多様な生き方に深い理解を示す法曹(地域にこだわりつつ世界を見つめ、性の多様性を尊重する法曹)を世に送り出すことが理念です。

琉大LSは日本の最南端にある入学定員16名の小さなロースクールですが、小規模校ならではの学修環境と面倒見の良さが誇りです。在学生は専用の机がある自習室を24時間利用できますし、16名の専任教員は、学業はもちろん、皆さんが修了まで健全な心身の状態で過ごせるように一人一人を親身に見守り支援しています。とくに新型コロナが猛威を振るった今年度、琉大LSはいち早く全授業を遠隔方式で実施すると決定し、学生のネット環境の整備を支援しました。大学が入校禁止となったひと月余りの間、家庭学習が困難だと訴える学生のために、実務家教員が自己の経営する事務所の一室を無償で提供したこともありました。経済的にも、授業料免除制度や篤志家等による給付型奨学金制度が多数あり、仕事や育児等で忙しい方のためには長期履修制度を設けて、誰もが学業に専念できるように工夫をしています。

県内唯一の法科大学院であるために、地域社会からの絶大な支援が得られていることも自慢です。沖縄弁護士会には琉大LSのための特別委員会があり、正規の授業や課外授業に中堅・若手弁護士を多数派遣しています。大手地元企業(沖縄銀行、琉球銀行、沖縄債権回収サービス)は、協定のもと、修了生を契約社員として雇用し受験環境をサポートしてくれています。また、那覇市・浦添市は性の多様性に関する学修の機会を、少年院は選択必修科目として現場研修の機会を、協定に基づいて提供してくれています。琉大LSは、今後ますます地元自治体や有力企業、経済団体等との距離を縮め、司法試験の合否にかかわらず、修了生が学びの成果を地元社会に還元できるような体制づくりを目指します。

昨年までに188名の修了生が旅立ち、65名が司法試験に合格しました。うち36名は県内で弁護士として活躍しています(沖縄弁護士会登録弁護士の13%に達しています)。それ以外の修了生も、自治体職員、国税専門官、裁判所書記官、家裁調査官などの公務員、金融機関などの企業の法務担当社員、国連職員、行政書士などとして、高等専門職教育を受けてきた利点を生かして活躍しています。

皆さんが、琉大LSの理念に共鳴し、修了生の一人となって活躍されることを願ってやみません。

大学院法務研究科長 清水一成