2022.09.27 重要 授業料と奨学金

鎌倉フェローシップ理事 鎌倉国年様のエッセイのご紹介(Reader’s Digest -No. 200-)

 

本法科大学院院生が奨学金のご支援をいただいております、鎌倉フェローシップ理事 鎌倉国年様の最新のエッセイをご紹介いたします(Reader’s Digest -No. 200-)。鎌倉様には長年にわたり多大なご支援を賜り心より御礼申し上げます。

 

 このシリーズの中で、ずっと考えてきたことは、「技術と運命」ということだった。歴史を概観してみても、自分の一生を振り返ってみても、行き詰まり、壁に塞がれたときに、技術が一つの転換点を作り出し、技術によって突破できたことを実感する。利害が対立する局面では、どちらかが勝ち、片方は負ける。囲碁を見れば、限られた目の取り合いである。だが、技術はまったく違った局面をもたらしてくれる。盤面から離れて、別次元からの解決という現象を生むのである。

 

 八方ふさがっても、天は空いている

 

という神言のように、水平局面ではどうにもならない状況を、立体的に3次元で、あっけなく打開できる。

 

 

 1年前は私の健康面で、持病の悪化から、「そろそろ終わりが見えてきたかな」と思っていた。つまり、残り時間の数量的な問題と感じていたところを、大血管の傷んだ部分を人工血管に置き換えるという手術を受けて立ち直った。医療技術の急速な発展のおかげである。50年前だったら、とてもとても不可能な治療だったと思う。これで晩年の運命は大きく拓け、数量的な考えでなく、「さあ、どういう生き方をすべきか?」とまったく別な考えになった。技術が別世界へ運んでくれた気がする。アディショナルタイムが3~5分から、あと1ゲームと表示されたら、ただむやみに走っているわけにはいかない。

 

 今までは、何でもかんでも、学ぶ・得るというTAKEだったが、これからは、教える・与える=GIVEに進み、老人の役目を果たす運命だろうと思う。

 

 

 一方、技術には、前述のような具体的に目に見えるものから、電気電子的な見えない世界もある。また、人間の精神世界においても思考の技術とか記憶の技術とか、問題整理の技術、あるいは教え学ぶ技術のようなものの価値も偉大なものがある。あるとき、こういう言葉を聞いたことがあった。

 

 整理の要諦は分類にあり

 

 対象を整理して認識する技術は、人類が磨いてきた素晴らしいものだが、その整理の方法もまた技術の集積による。分類がよくなかったら混乱するばかりだが、優れた分類であれば、たちどころに対象を選別できる。また、「探す」という技術はさらに大切だ。インターネットで得られる情報の中から、いかに早く良質の情報を採取できるか。これからは、目に見える技術よりも、見えない世界の技術進歩が人類の運命を変えると思うと、年甲斐もなく興奮を抑えられない。

 

 

 教育の目的を、故青木義輝先生は

 

 「知的好奇心の涵養である」

 

と喝破された。この言葉をいただいてから半世紀、今にしてしみじみと思い返すばかりである。個々の知識や技術の習得も、もちろん大切なことだが、一番大事なことは、やはり何に対しても好奇心を持ち関心を高め、常に学び考えて行く態度だろう。この「態度」を「習慣」にする技術を身に着けることができたならば、自分に対しても、他者に対しても、リーダーズ・ダイジェストの効用もあったかもしれない。

 

というようなことを考えている。

 

 皆様には、長年にわたりご愛読いただいて、ありがとうございました。

 

 

Reader’s Digest  -No. 200-     2022. 9月下  鎌倉国年  

 

▶写真は鎌倉国年様・慶子様のご近影